エネルギーいっぱいの、望月(満月)の気の満ちる日を狙って、北海道は釧路に来た。
同行者は、富士晴美さん。その娘さんは、東大医学部に現役で合格した、ご存知、イーサンちゃんです。中学生からの祐気採りのお嬢。母1人子一人でも、子ばなれ親ばなれ、独立独歩、見事なものに思えます。
釧路の木幡社長に、教えて貰った海岸で、祐気のセレモニーを昨夜、行う。空港で乗ったタクシーの年輩の運転手に頼み、シロヌカの恋問(こととい)の海辺に、タクシーをとばす。
夜8時ごろ、フロントガラスに、よこなぐりの雨。暗い太平洋。いきなり鋭い稲妻が、太平洋の闇を裂く。
一瞬、辺りが、明るくなって、天空いっぱいに雷光の残像を残して、もとの闇に戻る。なぜか、雷鳴の轟きは一切ない。
音なく、鋭い光りのパターンのみが、幾度となく描かれる。富士晴美さんの感動と驚きのこえが、車内にこだまする。光りの饗宴そのものである。
浜辺につくと、雨はやみ、雨雲を裂くように、満月が顔をだす。
その月光に寄せる波が、まるで柔らかな光りの帯のように、幾重にも輝いている。
ときおり、音なく、満月と競うように、雷光が、洋上一杯に美しい網をひろげる。
73歳のドライバーは「これまでの人生で、初めてだよ。こんな自然現象つうのはな」と帰りのハンドルを握りつつ語った。
久し振りに、予定どうりに私は、私個人の祈りをした。
富士晴美さんも、美しいほどの祈りの姿の影を、月光のもとに落としていた。
満足。満月のもとの祐気セレモニーだった。
恋問(こいとい)は、寄せ来る波に 望月(もちづき)の
光り映えたり 潮騒の浜
海原の闇に降りたり 青龍は
雨雲払いて 望月に映ゆ
ひたすら感謝しつつむらっち