無一文になり、電話も切られ、この国から、どう脱出するか?
ホテルから見るヘルシンキの街。
これは、3月末のフインランドでのこと。賭け事でも株の事でもありません。とんまなムラッチの旅先でのハプニング。幸運と不運の出来事との出会いによる顛末のレポートです。
3月23日、関空から、ヘルシンキへ。ごった返すヘルシンキ行き。
「往復とも満席状態ですよ。帰りは、特に日本への直行便のフィンランド航空便は取れません。韓国止まり。いったん韓国へ入国し、そこから改めて、出国手続きしてアジアエアーラインで、日本へ帰国となります」と言う、ツアー会社の内山さんの言葉を、この時、いとも軽く聞き流していた。
出国前の混雑、どしてこんなにも込むんだ、と思いながら、カウンターに行くと、日本の桜は有名で、特にフィンランド航空では、相当前からそのキャンペーンで、航空券が売切れ状態です、とのチェックインカウンターのグランド嬢の説明。また、フィギュアスケートの世界大会で、羽生結弦選手など世界から、ヘルシンキに集うのも、混雑の原因らしい。重なったか。
村田様、いつも、ご搭乗有難うございます。今回、ビジネスクラスをご準備致しました。えっと、驚きながら、ファーストクラスは、空いていないの?(エコノミーのチケットなのに、グローバルとスパーフライヤーズのメンバーではあるが)
と、図々しく感謝の前に聞く。あいにく、この機種に御座いませんが、同じクオリティーですよ。と言う、担当者に、初めて、ありがとうと言う。
後で知るが、この時期のビジネスクラスは、70万円する。
機内のシートは、思いっ切り贅沢な作り。一人掛けとカップルのための二人掛けのゆったりしたシートが、キャビンに交互に並ぶ。
窓際と通路にまたがり、水平にも寝れる広い一人掛けに、ゆったりして、身を沈める。
ああ、何という幸運! ラッキー!
関空へ送ってくれた妻の枝美佳に、その喜びのラインをおくる。
ビジネスのキャビンは、6割程度のお客。静かなムード。
頼んだ赤ワインを口にしながら、「蜜蜂と遠雷」恩田陸の直木賞作品508ページの大作。読みだすと、やめられない、とまらない。溢れる涙を、どうしよう!
ワイングラスを傾けながら、この幸せ感と、作品を触媒とする若き日々への惜春とメランコリーとがないまぜにになる。哀愁のどこかに匂いたつ多幸感。その天国のような情感に酔いしれていたかもしれぬ。
そのあと、顔面蒼白となる、地獄が待っているともしらずにー!
空港//フィンランド航空のラウンジ
フィンランド航空のラウンジ。ワイングラス越しと肉眼のレンズの情景。対象は、ひとつ。善も悪も一つの根 か !?
ビジネスキャビン
♬天国の美酒に酔うムラッチ♬